島言葉アラカルトその3
*「えずい」って、とっても便利な島言葉です。 何かを使っていて、やりずらい時とか、しっくりこないときとか、いろんな時に使います。 子供からママって呼ばれるとえずいなあ。 *目に何か入ったときのおまじない。 「なんまいだぁ、なんまいだぁ、なんまいだぁ、 つちだらばぁ つっとけろ、ごもく(ごみ)だらばぁ ぶんでろ、 なんまいだぁ、なんまいだぁ、なんまいだぁ」 *うそつきのことを末吉ではうそつきょ、中之郷ではきつね、樫立ではてれん、三根ではやましゅ、大賀郷ではおそつき、またはうそつきと言います。 *大根のこと、大賀郷、末吉ではでーこ、樫立ではじゃーこ、中之郷ではだゃーこと言います。 *ある、末吉のおばあちゃんが、東京タワーを見物して、大きなガラスがあることに気がつかず、ぶつかってしまったんですって。 その時に思わず発した言葉が「あったけっち、さんげばっち」。 (なんの罰で自分が懺悔しなければいけないのか)って意味じゃないかなあ、とその娘さんが話してました。 *「すく」とは栓とかふたのこと。 「(お風呂の)栓をしたか。」「(一升瓶の)ふたを閉めたか。」と聞くときに「すくぅ、しとうか」 と言います。 *畑を耕していて、前に作った薩摩芋などが出てくるときがありますよね。 この、出てきた物をうねいだしと言います。 *「このへためー、どれみー、しゃれみー」って、何のことか分かりますか。 「このへたくそ、私に代わってみろ」ということですって・・・ *溝のことをみじょまと言います。 溝に落ちてしまった時には「えー、みじょばげーぶっこちたらぁ」などと言います。 *着物のことはへべら、よそゆきの着物のことはまだらと言います。 「まだらぁきてどこへおじゃろぅ?」おしゃれな着物着て、どこ行くの? *お便りのことをおびんぎと言うそうです。 「おびんぎぃ、たもうれよーい」は「お便りをくださいな」 *山の頂上のことをとんつぶと言うそうです。
島言葉アラカルトその2
*きびなーリーはびっくりした時によく使う言葉。気味が悪いとは、ちょっと意味が違います。 *子供がいたずらして困るとき、「こーの、あしけまごう」なんて言います。 「この、わるがきが」って感じでしょうか。「まご」はたぶん子供のこと。 「あっいやだな」というときは「あしけ」とだけでも使います。「悪し」という意味でしょうね。 *めんどうくさがりやのことを「けでぃやみ」と言います。「あそこの嫁は、けでぃやみでー」なんて言われないようにしなくては。ははは。 *「みてみろー、とうちゃんのて。あっかりこやけになってー。」 あかぎれのことだそうです。夕焼けみたいに手が赤くなるからかなあ。 *「むげーこと」むごいこと、つまり、かわいそうにー、という意味。 *何かを探しているのに、なかなか見つからなくて、困っているとき、近くにいる人が、 「ほら、ここにあるじゃないか」という意味で「ありこーすねー」と言います。 *赤ちゃんがだんだん知恵が付いてきて、いたずらが激しくなってきたとき、 「まあ、はらくになってえ」などと言います。はらくはいたずらのこと。 お腹が痛くなるほど笑った後で、大賀郷だったら「はらーをよじらかしたわ」、 末吉だったら「はらのしんをやもわー」と言います。 *とうもろこしの中の実がきれいにそろってついていないとき、 「あいあいあい、はぐーばどうじゃ」と言います。揃っていない歯のことかな。 *さきっぽのことはとんちゃきと言います。 *傷口を触っていると、「いろおるな」とか「いろおどけ」言われます。 いじるな、とかちょっかいをだすな、というような意味らしい。 *皮膚にできるいぼのことをゆんぶ、傷ができて化膿したりするとやんべこうじと言います。 *「ほとびかす」とは、水でふやかす、もどす、という意味ですって。 *「鳥肌が立つ」ことを末吉では「しゃっぽげが立つ」、大賀郷では「ざんぼげが立つ」と言います。
島言葉アラカルトその1
「きえー、ほとーるわのう。」 「今年の夏は、異常だらあ。」 ほとーるは暑いという意味です。 ちなみに熱いはしゃしゃいと言います。 「あいー、まだしゃしゃきゃあ、気をつけろよい」 *ぼーい、ねっこい(大きい、小さい) 「家でぼーけスイカが取れたらー」 「よっきゃのう(いいなあ)、我が家のは、まだねっこけだらー」 「あそこんちのスイカもぼーきゃのう」 「そごんだ(そうだ)、ぶったまげたー」 *のんばけるって、何かが化けて出てくるという意味ではありません。のどにつっかえること。 「あー、のんばけるぞー、ほーらのんばけた。もっと小さく切ってやらないと。」小さい子がいるとよくこんなことがあります。 *人がおいでになることをおじゃりやる、またはおじゃると言います。 「また来てね」、は「またおじゃってたもーれ」です。 おじゃる丸の使っているような優雅な宮廷言葉が残っているのです。 *「僕さあ、もう東京に長く住んでるから、島言葉なんてひっかすっちゃった。」という冗談。 ひっかするって忘れることです。 *糸がこんがらがった状態をおどらになると言い、もっとひどくこんがらがるとしっぐすもっぐすになると言います。 *「あらまあよう」と言うような時「あい、あい、あい」と言います。 *遊んで真っ黒になって家に帰ると、「あいー、すみくりけーくりになってー」と言われたそうです。 *「ぶ」をよく付けます。 捨てることをぶっちゃる、落っこちることをぶっこちる。 髪の毛を切った後「ぶっ切ったな」と言われて、ふきだしそうになったことがありましたっけ。 それから、横になって休んでいることは、「ぶんながんでる」ですって。 *「ごん」もよく付けます。 「行こう」のことを「いこごん」、「飲もう」のことを「のもごん」など。 また、「ごらごら」は早くしなさいってこと。 *そんなことどうでもいいじゃない、と言う時、「あんでもよっけじゃ」を使います。
八丈島 末吉版 雨ニモマケズ
雨ニモマケズニ 風ニモマケズニ 雪ニモ 夏ノホトオリニモ 負ケンナア ガンジョウダァ 体ヲモットッチィ 欲バラズニ ゼェッタイ ハラァタテズ イツモ ヨウラニ ワラッタッテ 一日ニ玄米四合ト ミソト チイトノ野菜ヲ カンデ アンデモカンデモ ジブンヨ カンジョウニ 入レズニ ヨォク ミトッチィ キイトッチィ ワカッテ ソガンシテ ヒッカスリズニ ノッパラノ 松林ノカゲノ ネッコケ 萱葺小屋ニ イトッチィ 東ニ ヤンダアロ コドモガアララバ 行ットッチィ カンビョウシテケテ 西ニ ツカレタ カアチャンガアララバ 行ットッチィ ソノ稲ノ束ァ ショイ 南ニ マルビソウダ人ガ アララバ 行ットッチィ オッカナガリズト ヨッキャ トイイ 北ニ ケンカヤ ウッテイガアララバ 行ットッチィ クダリンナァンテ ヤメロ トイイ ヒデリノトキハ ナミダァ ブンナガシ サムケナツニャ アダンソダッチィト イイナガラ ミキチャカッテ 誰ンデモ デクノボウト ヤレテ ホメラレモセズニ クニモサレズニ ソガンダァモノニ アラ ナリタキャ 作 八洲侑子
八丈島 大賀郷版 雨ニモマケズ
雨ニモマケズン 風ニモマケズン 雪ニモ 夏ノホトオリニモ 負ケンノウ ガンジョウドウ 体ヲモットッテェ 欲ゥ ハラズン ゼェッタイ ハラヲタテズ イッツモ ヨウラ ワラッタアル 一日ニ玄米四合ト ミソト チイトノ野菜ヲ カンデ アンデモカンデモ ジブンヲ カンジョウニ 入レズン ヨォク ミトッテェ キイトッテェ ワカッテ ソゴンシテ ヒッカスラズン ノッパラノ 松林ノカゲノ ネッコケ 萱葺小屋ニ イトッテェ 東ニ ヤンダアロ コガアラバ 行ットッテェ ミテケテ 西ニ ゲッスリシトウ カアチャンガアラバ 行ットッテェ ソノ稲束ァ ショイ 南ニ マルビソウドウ人ガ アラバ 行ットッテェ オッカナガラズトゥ ヨッキャヨゥ トイイ 北ニ ケンカヤ ウッテイガアラバ 行ットッテェ アンニモナリンナカ ヨシヤレ トイイ ヒデリノトキハ ナミダヲ オンナガシ サムケナツニャ アイアイアイト イットッテェ ミキタテテ 誰ンデモ デクノボウト ヤレテ ホメラレモサズン クニモサレズン ソゴンドゥモンニ ワヤ ナリタキャノウ (島言葉もいいだろう・・・作・孝光)
島言葉(八丈島の方言)
島の人同士でしゃべっていると、初めて聞く人は何を言っているのか さっぱり分からないと言います。 大阪城の見学に行って、並んで待っている間に島言葉でしゃべっていたら、 英語のパンフレットを渡された、という人もいます。 八丈島は現在、八丈町として一つの自治体になっていますが、 昔は三根(みつね)村、大賀郷(おおかごう)村、樫立(かしたて)村、 中之郷(なかのごう)村、末吉(すえよし)村という 五つの村に分かれていました。 車のない時代は、よその村に出かけることも少なく、 その土地、独特の言い回しが発展したようで、今でも残っているようです。 ここでは、夫や知人から聞いて面白いと思ったものを少しずつ紹介していこうと思いますが、 専門に研究なさっている方から見ると、不適切、不十分な点があるかも知れません。 どうぞ、ご容赦ください。