八丈牛乳とカスピ海ヨーグルト

  八丈富士の中腹にふれあい牧場があります。 八丈島では、昔からたくさんの牛が飼われていました。 島の風土が適していたこと、牛の飼料のマグサが豊富であったこと、 そして、車のない頃には交通運搬の役にも立ったため、戸数よりも多くの牛が 島で飼われていたという記録が残っています。 現在では、その数はだいぶ減ってしまいましたが、2件の農家が牛を飼育し、 おいしい八丈牛乳を生産しています。 島外から運ばれてくる普通の牛乳に比べて、八丈牛乳は若干高いのですが、 低温殺菌(85度で10分間)、成分無調整で、とってもおいしいので、 私はいつも、迷わず八丈牛乳を買っています。 子供達も学校や保育園の給食で毎日八丈牛乳を飲んでいますが、 機械の故障などで、ほかの牛乳が出るときは、がっかりするそうです。 きっとほかの地域の牛さんも、同じくらいおいしい牛乳を出してくれているのに、 大量生産の過程で、味が変わってしまうのかもしれません。 普通に飲んでも、ものすごくおいしい八丈牛乳ですが、我が家では、 カスピ海ヨーグルトに変身させて、手作りのジャムと混ぜて、 これまたおいしくいただいています。 このヨーグルトは、家森幸男氏が、カスピ海沿岸の長寿村を調査された際に、 同地から持ち帰ったものです。 私は2000年3月にちょんこめ作業所から分けていただきました。 それまでは、市販のプレーンヨーグルトに40度に温めた牛乳を混ぜてつくっていましたが、 3~4回が限度で、ヨーグルトを買い換えなければなりませんでした。 ヨーグルトを作るために、ヨーグルトを買わなければいけないなんて・・・ それにいちいち牛乳を40度に暖めるのも大変でした。 その点このカスピ海ヨーグルトは、牛乳の温めもいらず、繰り返し何百回でも更新でき、 大助かりです。また、酸味が少なくて、粘り気が強く、とてもおいしいんです。 なんと、テーブルにこぼしても、手でつまめるんですよ。 きれいに洗ってある容器に、八丈牛乳(なければ成分無調整のもの)500mlをいれ、 このヨーグルトを大匙3~4杯(ヨーグルトの量を多くすれば早くできます。) 混ぜてからふたをし(ふたをしないで、蟻にたかられた事があります)、 室温に置いておくだけで、夏なら半日、冬でも一日で、ヨーグルトに変身します。 そのままにしておくと、発酵が進みすぎて酸っぱくなってしまうので、 冷蔵庫に保管し、冷たくなってから食べます。 私は最初に食べるときに、きれいな部分を取り分けて、別のタッパーに入れ、 新しくヨーグルトを作ることにしています。 また、旅行などで長く留守にする場合は、出来上がった状態で、 一度もスプーンを入れないまま、冷蔵庫に入れておけば、かなり長くもつと思います。 残念なことに、いろいろな方にお分けしても、なかなか作り続けてくれないのですが、 毎日ヨーグルトを食べてもいいというほど好きな方で、 なおかつ手作りが苦にならない方なら大丈夫。 いつでもお分けできますので、声を掛けてください。 ※お分けした方からの感想 「前に食べていたカスピ海ヨーグルトより甘くておいしい」  (^_^) トッピングいろいろ イチゴジャム、桑の実を凍らせたもの、あびの実ジャム、枇杷の実のシロップ煮、 やまももジャム、りんごジャム、えべず(山葡萄)ジャム、蜂蜜などな

明日葉とかき菜

   明日葉(せり科)     かき菜 今日とっても、明日には新芽が出てくるから明日葉(実際には四、五日かかります)、 下の大きい葉っぱから、順々にかいて食べるから、かき菜といいます。 どちらも、無耕機、無肥料、こぼれ種で、とてもよく育つ植物です。 秋から春にかけておいしくなり、島の人々にとって、昔からなくてはならない野菜で、 家でも、明日葉のおひたし、かき菜飯等が大好きです。 そして、お正月には、かき菜のお雑煮と決まっています。 明日葉はちょっと苦いので、はじめはマヨネーズをかけると、食べやすいかも。 慣れてきたら、酢醤油でもどうぞ。 かき菜はからし菜の仲間です。 大きな葉っぱを生のまま細かく切って、昆布の細切りと塩を混ぜ、重石をしておくと、 ピリッと辛い漬物の出来上がり。 春になり、つぼみが伸びてきたら、手で折れるところでポキンと折って、 茹でてお浸しにしてもとてもおいしいのですが、 ほんの軽くだけ、サッと茹でてから切り、塩を混ぜて重石をすると、 これまたおいしい、歯ごたえのある漬物になります。 しっかり茹でてしまうと辛味がなくなるので、注意してくださいね。 どちらも野性のエネルギーがいっぱいです。 明日葉の花 かき菜の花芽 花びらの数が4枚なのはからし菜の仲間の証拠

麦雑炊

「名物にうまいものなし」なんて言いますが、その土地に何年も暮らして、 初めてそのおいしさが分かる物ってありますよね。 その土地で採れるものは、そこに暮らす人の体に一番合っているのでしょう。 八丈名物、麦雑炊は、島で採れる日本一美味しい里芋と明日葉がたくさん入っていて、 少し苦くてお浸しでは食べにくい明日葉も、子供でもたくさん食べられます。 大鍋にいっぱい作らないと美味しくない、とか、絶えずかき混ぜていないと焦げてしまう、 と聞いてなかなか作れなかったのですが、超簡単な良い方法を思いつき、 たびたび食卓に上るようになりました。 麦雑炊を作りたいときは、まず前の晩の味噌汁に芋汁(いもしる)を作ります。 ① 里芋は皮をこそげ一口大に切る。明日葉は茹でて水にさらし、ざく切りにする。 しょうが少々はみじん切りにする。 ② 厚手の鍋に、水と里芋、明日葉、しょうが、味噌、しょうゆ少々を入れて火にかけ、 沸騰したら、鰹節を削って入れ、里芋が軟らかくなるまで煮る。 これで芋汁は出来上がり。 ③ 芋汁の残りに押麦を加え、火にかけて、沸騰したら弱火にして5分煮る。 火から下ろして、バスタオルなどでくるみ、一晩おくと麦雑炊の出来上がり。 ※ しただみという小さな貝を入れると、最高に美味しいそうです。 *夏には里芋をジャガイモに代えて作ります。